「自己破産」という言葉を、自分とはまったく無縁なものだと考えていませんか?
確かに、何かと悪いイメージの付きまとう言葉ではあります。
ですが、多額の負債を抱えた人たちにとっては、最後の救済措置です。
さらに、人生を再スタートする大きなきっかけにもなる手続きのひとつなんです。
もちろん「自己破産したら人生終わり」などということはありません。
あらゆる制約、デメリットは確かにあります。
然るべき手続きを取ることで、経済的にも精神的にもゆとりある日常生活を取り戻すことができるでしょう。
今回は「自殺か、自己破産か」という状況を経験したことのある、Nさんに独占インタビューを実施。
当時の借金状況や、自己破産の手続き方法、自己破産後の生活などをご紹介していきます。

今回回答いただいたNさんは、自分で作ったものではない約1830万円以上もの負債を抱え、「自己破産か自殺か」という考えに捉われてしまいます。
ご家族からの紹介で弁護士事務所へ相談し、その日のうちに自己破産をするよう勧められたのだそうです。
そして最初の相談から1年3ヶ月もの時間がかかりましたが、無事免責が決定。
現在は心の療養をしながら、新たな人生へ再スタートを切られています。
「自己破産によるメリット・デメリットをしっかり把握してから判断してください」とインタビュー中でNさんは語ります。
詳細は本文を参考にしてください。
自己破産経験者への独占インタビュー
今回、自己破産体験インタビューに回答頂いたのは、ハンドルネームNさん(仮名・38歳)
債務整理をするうえでは、まず自己破産ができるか、認められるかどうかを考えてから他の方法を検討します。
今回Nさんにはなぜ自己破産をするに至ったのか、どうして借金を抱えてしまったのかなどを回答して頂きました。
負債総額と借金の理由|人生の分岐点となった出来事


当時はプライベートでも悪いことが重なり、すべてが嫌になってしまっていた頃でした。
相談に行ったときは、アルバイトで働いていた工場を辞めていたので無職でした。


1000万円超えの借金総額と、その壮絶な理由とは…「自己破産するか、自殺するか」


借り入れ先は横浜銀行から約1500万ほど、これはマンションの借金です。
アメックスカードから50万、レイクとアコムからそれぞれ40万円程度。
あとは車のローンで200万円くらいです。

主な借金理由を教えて頂けますか?

つまりマルチ商法に誘われ、大手消費者金融から50万円ほどの借金をしたことがきっかけでした。
その返済のため不動産屋で働きましたが、私の借金のことを知るとまるで人を奴隷のように扱ってきて…。
不正を働かされたうえ、マンションを無理やり購入させられたのです。
1500万円もの借金を返済するため、一緒に起業してくれるビジネスパートナーを探し、事業を始めようとしました。
しかし最終的にはその方にも騙されて、それまで肩代わりをしてきた分、約300万円もの借金を背負わされてしまいました。

確かに自己破産を考えるべき負債額ですが、当時他の債務整理は検討されましたか?

もう誰も信じられなくなり、家に引きこもった生活を続けていましたので、それ以外の方法は思いつけませんでした。
自己破産のきっかけと法律事務所への依頼


共同で事業をしようと言ってきた方が、私の名義でお金を借り、いわゆる自転車操業をしていたようです。
気付いたときには、すべての負債や責任が私に突き付けられているような状況でした。
マンションに関しても、何度か催促状が届いていたように思います。
失意のなか、自己破産に踏み切った理由とは


とにかくお金のことを考えたくありませんでした。
でも、生きている以上はどうにかしなければなりません。
お話したとおり、「自己破産か自殺か」という考えに没頭しました。
でも家族だけは私のことを心から心配し、味方になってくれました。
本当に迷惑をかけてしまいましたが、私が自己破産という手段を知ったのも家族のおかげです。

では、債務整理をするにあたり、依頼した法律事務所を教えてください。

費用は大体20~30万円程度、足りない分は両親が工面してくれました。
手続きの煩雑さを乗り越え、免責を勝ち取る


最初は何か制約があるのではと思っていました。
ですが、特に生活していく上で不便を感じることはありませんでした。

借金の催促や取り立てはいつ頃止まりましたか?

破産手続きで一番苦労したことは、「書類集め」「イヤなことを思い出す面談」


収入がほとんどありませんでしたので、私自身ではなく家族の年収や毎月の出費に関して細かく書類を作りました。
法律事務所へ出向いて面談し、それらを提出するのですが、最初の数か月のうちはイヤなことを思い出しながらお話しなければならなかったことが本当に辛かったです。


精神的にも参っている中で、最後には裁判所でも面談がありましたのでとても辛かったです。


蒸し返せば蒸し返すほど他人に対する愚痴しか出てこなかったのですが、担当してくれた弁護士は丁寧に事情を聴いてくれて…本当にありがたかったです。
自己破産後、ローンが組めないデメリットは大きい。でも借金に悩まされない生活が嬉しい




最近はネットで買い物するにも、クレジットカードありきですから。
デメリットはある、でもきっと借金問題は解決する。経験者の法律事務所の選び方


ただ、自己破産によるメリット・デメリットをきちんと把握し、判断したうえで債務整理方法を選んでください。
自己破産のデメリットが理解できれば、その後生活していく上での影響を考えられます。
それに、「じゃあ他の債務整理は」と選択肢を広げることにも繋がりますから。

それではNさんは、法律事務所を選ぶうえで、どんなことに気を付けたほうがいいと思いますか?

ネットから気軽に相談することもできますが、合う合わないはあります。
私のような精神状態では他人とまともに話すことができるかどうかもストレスになったりして。


だから、その時の精神状態にもよりますが、家族から紹介してもらったり、家から近くて相談しに行きやすいところを選ぶといいと思います。
親しい人からの紹介であれば、事務所へ相談に行く最初の一歩も勇気を持って踏み出すことができると思います。

まとめ:自己破産で勇気ある最初の第一歩を踏み出そう
今回インタビューに答えて頂いたNさん、本当にありがとうございました。
Nさんは、自分で作った借金ではないにも関わらず、精神的に追い詰められ、「自己破産か自殺」という考えに至ることになりました。
ご家族の助力もあり1年以上もの時間をかけて自己破産が決定、借金はゼロになり、新たな人生をスタートさせています。
債務整理をするにあたって、自己破産は最後の選択肢だとも言われています。
多額の負債を抱え、他の債務整理ではどうしようもない場合、弁護士から自己破産を勧められるケースも少なくありません。
そんな時は専門家からのアドバイスを素直に受け入れることも大切です。
ですがまずは自分で自己破産に関するデメリットや手続きの方法についてよく調べておくようにしてください。
勇気ある最初の第一歩を踏み出すためには、きちんとした準備と、踏み出してから倒れてしまわないような心の余裕が必要です。