「友人の保証人になっていたけど、友人が病気になって返済できなくなってしまった!」
債務の保証人になっている場合、債務者本人に返済能力がなくなれば、その責任は保証人に向けられることになります。
契約する際には債務者本人と保証人の返済能力を審査されたかと思います。
しかし、突然のリストラや天災など、いついかなる理由で返済ができなくなってしまうかわかりません。
では、ある日突然残債を一括で請求されてしまったら、一体どうすればよいのでしょうか。
またすでに保証人になっていて、返済が困難な場合、どのような解決策が考えられるのでしょうか。

借金の保証人になっている以上、あなたにはその債務を返済する義務が生じています。
保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」などが認められています。
しかし、連帯保証人になっている場合、法律上の立場としては債務者本人と殆ど違いがありません。
2014年度の調査によると、自己破産の原因のうち22.4%が保証債務。
つまり保証人になったことが原因であるという結果が出ています。
債務者本人と連絡が取れる場合には、返済が困難であると判断した段階で、速やかに債務整理に強い弁護士事務所に相談を持ち掛けるのがよいでしょう。
詳細は本文を参考にしてください。
保証人になった以上、返済義務が生じています
「家族なんだから返済義務は当然ある!」と思っているのであれば、それは誤りです。
家族であっても、友人であっても、「保証人であるかどうか」が返済義務の生じるかどうかに関わってきます。
裏を返せば、家族でも友人でも、保証人でなければ返済義務は生じない、ということになります。
「家族が作った借金なのだから…」という台詞はよく耳にすることがあります。
しかし勝手に実印などを利用され保証人にされている場合であっても、「無理代理行為」とされ返済義務はなくなります。
ただ、保証人のなかでも、「保証人」「連帯保証人」とでは大きな違いがあるのです。
保証人と連帯保証人の違い
保証人には「債務者本人に返済能力がある」限り、債権者からの請求を拒否することができます。
また債務者本人の財産を先に調べてもらうよう求めるなど、最低限の権利が備わっています。
一方で、連帯保証人にはこの請求を拒否する権利がありません。
「債務者本人の返済能力の有無にかかわらず」、債務を返済する義務が生じることになります。
つまり、債権者がある日突然「連帯保証人なんだから払ってね」と言えば返済義務が生じます。
応じなければ法的措置のもと、財産などを差し押さえられてしまうことになるのです。
連帯保証人になっている場合、法律上の立場としては債務者本人と殆ど違いがありません。
債権者も取り立てや督促を行うことに躊躇することはないというわけです。
また勝手に保証人にされていて、たった1円でも返済に応じてしまった場合は要注意。
その債務を追認したことになり、返済の義務が生じることになります。
債務者本人に返済能力がなくなったら?
お金を借りた本人に借金の返済能力がなくなってしまった場合、当人は「債務整理」を考えることでしょう。
なかでも自己破産、あるいは個人再生など法的手続きを取ることになれば、保証人に残債を支払うよう求められることになります。
債務者本人が自己破産によって借金の支払いを免れたとしても、保証人には債務を返済する義務が残ることになるのです。
「債権者の請求を拒否できる」権利も、債務者本人の自己破産の免責が認められた場合には使えません。
さらに、保証人が貸金業者に返済したお金を、債務者本人に求めることができる「求償権」も、本人が自己破産している場合には行使することができません。
今現在借金の保証人になっていて、かつ残債を一括で返済することが困難…。
そんな時は、どのような手続きを取ればよいのでしょうか。
保証人になったけど返済能力がない場合の対応策
債務者本人が返済能力を喪失したことにより自己破産…。
保証人に一括で返済するよう求められてしまった場合、どのような対応策が考えられるでしょうか。
保証人も一緒に債務整理の依頼をする
2014年度の日本弁護士連合会の調査結果によると…。
自己破産の原因のうち22.42%は「保証債務」。
つまり、連帯保証人として返済義務が生じたことによる自己破産となっています。
参考:https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/books/data/2014/2014_hasan_kojinsaisei.pdf
債務者本人が債務整理を行ったからといって、保証人は債務整理ができない、ということはありません。
債務者本人と連絡が取れるようであれば、弁護士事務所に一緒赴き、相談を重ねたうえで債務整理の手続きを取るのが望ましいでしょう。
この場合債務をどうするのか、債権者との交渉を弁護士に一任することになります。
債務整理を行えば、個人信用情報に異動情報として記録が残ることになります。
このため5~10年間はクレジットカードの新規作成や、新たな融資を受けることができなくなります。
主たる債務者および保証人が同時に債務整理を行った場合、両者とも個人信用情報に金融事故として情報が登録されることになります。
返済していけるかどうかで手続きが異なります
債務整理を行う上で、借金をゼロにするか、減額するかで取るべき手続きが異なります。
少しずつでも返済していけそうな場合は任意整理などを検討する
債務者や保証人がその後の収入などで少額ずつでも返済していけそう…。
そんな場合には個人再生、任意整理、または特定調停などの方法になります。
なかでも任意整理という方法は裁判所を通さない手続きです。
弁護士に借金減額の交渉を依頼し、債権者との和解契約を結びます。
委任状を作成することで債権者からの取り立てはストップします。
厳しい取り立てを受けている場合には速やかに相談のうえ依頼したほうがよいでしょう。
他にも負債が比較的少額の場合や、毎月の返済額を少しでも減らしたい場合などには有効な手段です。
返済能力がまったくない場合は自己破産を検討する
一方、全く返済能力が失われている場合には自己破産の手続きを取ることになります。
破産、というとどうしても暗いイメージがあります。
しかし実際には多額の負債を抱え、困窮した生活を送る人々を救う最後の砦となる制度です。
自己破産をするデメリットとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
債務者本人のみが自己破産をした場合には、保証人に債務請求が行くなどのデメリットがあります。
しかし保証人であっても、充分な返済能力が認められない場合には自己破産をすることができます。
債務整理専門の弁護士事務所に相談しに行くのが望ましいと言えます。
一般的に数千万円以上の負債を抱えている場合、自己破産を選んでいる方が最も多くなっています。
その人それぞれの収入状況や返済期間などを考慮したうえで手続きを決定します。
弁護士に相談しにいく場合にはきちんと説明できるよう、情報を整理しておく必要があるでしょう。
参考:https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/books/data/2014/2014_hasan_kojinsaisei.pdf
まとめ:保証人でも債務整理はできる。返済できないと思ったら早めの相談を
連帯保証人、保証人だからといって、債務整理ができない、というわけではありません。
むしろ借金の保証人になってしまったために、自己破産をすることになった…。
そんな方がとても多いという実態があります。
債務者と連絡を取り合い、お互いに返済が困難である、と判断した段階で弁護士に相談することが望ましいです。
しかし、なかには主たる債務者と音信不通になってしまっているケースも少なくありません。
いずれにせよ、債務整理を専門とする事務所の無料相談窓口に、用意できるだけの資料や証拠を揃えて提出、足を運ぶようにしてください。