会社員や専業主婦の副業としても人気な株・FX取引。
そのリスクを学ぶことなく手をつけてしまうと、一瞬にして多額の借金を抱えてしまうことがあります。
こうした人たちは取引で負けた分を取り返したい。
そのために消費者金融から借り入れをして、またFX取引をする、という悪循環…。
最終的には借金地獄に陥ってしまうことになります。
特にFXについてはデメリットやリスクを知ることが重要です。
コツコツ貯めた資金が一瞬で溶けてしまった…という話は、ネット上でも散見することができます。
このように株やFX取引で多額の負債を抱えてしまった場合、そしてそれが返済不可能である場合にはどうすればよいのでしょうか。

株取引やFX取引の基本は「安く買って高く売る」ことです。
しかし、どちらも一瞬にして多額の存在を生み出すリスクのある取引です。
特にFXはゲーム感覚で手軽に始められる分、ギャンブルのようにのめり込んでしまう方が多いです。
気付いたときには消費者金融などから証拠金を借りてまで取引をするようになります。
こうした取引による自己破産は免責不許可事由として認められないケースもあります。
しかし免責不許可にあたるのは全体の0.2%であり、ほとんどの場合裁量免責として破産が認められています。
また自己破産以外にも任意整理、特定調停、個人再生などで借金総額を圧縮することも可能です。
詳しくは本文を参考にしてください。
株取引とFX取引の違い|借金のリスクとその理由
まず株取引とFX取引の違いを以下の表に簡単にまとめてみました。
FX | 株 | |
投資対象 | 通貨 | 企業の株式 |
値動き | 比較的ゆるやか | 1日の変動率が高い |
取引可能時間 | 平日の24時間 | 朝9時~15時まで |
レバレッジ | 最大25倍 | 信用取引で約3.3倍 |
表からもわかる通り、両者にはいくつかの違いがありますが、基本は「安く買って高く売ること」。
どちらも大きな利益を生むこともあれば、一瞬にして多額の損害を生み出すリスクもある取引です。
株取引の借金理由
企業の株式に関しては「これからどの業界が伸びるか」「どの企業が躍進・撤退するか」…。
国の情勢や先を見据えた決断が必要で、充分な知識をつけなければなりません。
またどんなに有名な投資家であっても、世界情勢による株価の暴落により、たった数日で何億円もの負債を抱え、自己破産をするというケースは珍しくありません。
このように一般的にはFXよりも、株取引のほうが借金・自己破産のリスクが高いと言われています。
FX取引の借金理由
一方でFXは24時間ネットから気軽に始められます。
そのため、知識を持たないままゲーム感覚で手をつけてしまう方が少なくありません。
特にレバレッジという取引方法では、用意した証拠金の最大25倍までの額で取引することができます。
証拠金が増えれば取引できる額も増えます。
証拠金を消費者金融に借り入れて大損し、その負け分を取り返すためにまた借金をして…。
こうしたサイクルの結果、多額の負債を背負ってしまう主婦・サラリーマンが多くなっています。
借金をそのままにしておくとどうなるの?
借金の理由がなんであれ、借りたお金はいずれ返済しなければなりません。
しかしFXにのめり込んでしまっている方にとって、返済どころか明日以降の生活さえ見通しが立たないことが多くあります。
例として消費者金融などからお金を借りていてそのまま返済不能となった場合は、以下のような流れで請求が進んでいきます。
1 | 請求書、催促状、督促状などの送付、電話などでの連絡 |
2 | 内容証明郵便の送付、債権の譲渡 |
3 | 訴訟を起こされ敗訴 |
4 | 強制執行による給与や財産の差し押さえ |
内容証明郵便とは「いつ」「誰が誰に」「どんなことを伝えたか」を、郵便局が証明してくれる郵便です。
これが送付されてきたということは、その郵便物を持って返済が行われていないことを証明することになります。
これを証拠に、クレジット会社・債権回収会社などが裁判を申し立てる可能性があります。
それでもない袖は振れませんし、その借金を取引で返済しようなどと考えてはいけません。
暴落によって一瞬にして多額の負債を抱えてしまった投資家たちは、唯一の解決策が「自殺」であると極端な考えをしてしまうことも多いと言います。
それでは、株取引やFX取引による借金返済ができない場合、どうすればよいのでしょうか。
株・FX取引の借金を債務整理できる?
株やFXで多額の負債を抱えた場合、返済の目処が立たないことがほとんどです。
そのため、「自己破産」という手続きを取ることになるでしょう。
しかし、株・FX取引では、免責不許可事由により自己破産が認められない場合があります。
(破産法252条第1項1号の規定による)
これは「ギャンブル、パチンコ、競馬、FX、株、浪費」といった、多重債務の主な原因となるもので借金をした場合には自己破産が認められない、という規定です。
しかし実際は「裁量免責」といって、裁判所に対して借金の理由や事情を説明していけば、免責が許可されるケースが多いと言われています。(破産法第252条第2項)
自己破産を申請しても免責がおりない「免責不許可」とされるのは0.2%。
取り下げが2%程度となっていることから見ても、実際には殆どの場合自己破産が認められている、ということがわかります。
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/books/data/2014/2014_hasan_kojinsaisei.pdf
自己破産以外の債務整理をする場合
万が一自己破産が認められない場合…。
他の債務整理を行うことで借金総額を圧縮、返済期間の短縮化などが望めます。
消費者金融からお金を借りていた場合
借りたお金を投資に充てている場合、個人再生、もしくは任意整理という方法から借金を減額することが可能です。
比較的借金額が少ない場合や、自分で手続きを進めて費用を安価に済ませたい場合には、任意整理を行う方が多いです。
個人再生は裁判所を通し、借金額を原則1/5にします。
そしてその残債を、3年以内で完済できるよう計画を立てる債務整理です。
債権者に再生計画の承認を得ることや、将来にわたって返済可能な安定かつ変動のおそれが少ない収入があることなどが条件になります。
また住所氏名が官報に掲載されるなどデメリットもあります。
しかし、多額の借金を整理したい、少しでも返済したいという方には検討してほしい手続きです。
急激な値動きの変動により、ロスカットが作用せずマイナスになった場合
通常FX取引では強制ロスカットによって、資金がマイナスになって借金を背負う、という事態にはなりません。
しかし急激な値動きにシステムが追い付かず、証拠金が一気に吹き飛んでしまって大損をする…というケースがあります。
さらにこの場合、ほとんどのFX会社では損害を補填してくれません。
すべて自己負担で支払わなければならなくなります。
この場合もまた、自己破産もしくは前述の債務整理を行うことになります。
まとめ:自己破産に強い弁護士を選ぼう。死ぬ必要はありません
FXは平日は24時間動いていますが、週末に取引をすることができません。
その間に大きなニュースで相場が変動すれば、月曜の朝に一気に決済されて大損害を受けるということもあります。
突然のことにパニックに陥り、ネット上でも「もう死ぬしかない」などの書き込みが目立つことから、やはり冷静さを欠いてしまう方は多いようです。
命を絶ったとしても、その借金が自分から離れていくことはありません。
その借金は後に必ず、残された誰かの身に降りかかることになります。
まずは落ち着いて、できることから始めましょう。
確かに自己破産にはデメリットもあります。
さらに、免責が許可されないケースもごくまれにあることは事実です。
債務整理に強い弁護士や司法書士は、そういった借金理由であっても相談を受け付けてくれます。
その人に応じた解決策を提示してくれます。
無料の相談窓口を設けている事務所も多いです。
まずは借金をするに至った経緯などを説明できるようまとめ、正直に打ち明けていくことが第一歩です。