大切な家族や友人、その借金を背負うことになったら、あなたは一体どうしますか?
さらにその肩代わりした借金の返済ができなくなってしまったら、あなたは一体どのような解決策を考えるでしょうか。
きっとその友人も切羽詰まった状態であなたに頼んだのかもしれません。
でも、肩代わりをしたと同時に、あなたには恐ろしいリスクがついてまわるようになっています。
金融トラブルに巻き込まれたり、人間関係の悪化や多重債務に陥ることになったり…。
すでにその片鱗はあなたの身の回りでその影をのぞかせているかもしれませんね。
こうしたリスクのあるトラブルを回避するにはどうすればよいのでしょうか?
ここでは、肩代わりした友人の借金が返せない場合の対応策をまとめています。

借金の返済を肩代わりすることで、返済義務が生じるのは以下のようなケースです。
- 保証人である場合
- 連帯保証人である場合
- 連帯債務者である場合
- 連帯保証人であることを追認した場合
上記のように保証人になっていない場合は、例え両親や子ども、親族間であっても第三者の返済義務が生じることはありません。
また友人の債務の保証人となってしまって、返済の目処が立たない場合には債務整理による法的な整理を検討してください。
詳細は本文を参考にしてください。
肩代わりする必要があるかどうか
もしもあなたが借金を肩代わりした友人と音信不通になった場合。
さらにその後厳しい取り立てや督促を受けているかもしれません。
そんな時には、「本当に肩代わりする必要がある借金かどうか」を判断する必要があります。
返済義務の発生するケース
まず借金の返済義務が発生するケースとしては、以下の4種類が挙げられます。
1 | 保証人である |
2 | 連帯保証人である |
3 | 連帯債務者である |
4 | 連帯保証人であることを追認した場合 |
以下の図は、「保証人」と「連帯保証人」の違いを簡単に示したものです。
それでは、この2つの違いについても詳しく見ていきましょう。
保証人になっている場合
本来、返済義務は当然、債務者本人にあるものです。
しかし、あなたがその借金の保証人になっている場合、債権者はあなたにも返済を請求することができます。
ただ、突然返済を求められた保証人側には2種類の権利があります。
催告の抗弁権(民法452条)
催告の抗弁権とは…。
債権者が保証人に借金を返済するよう請求した際、「まずは債務者本人に請求して」と返済を拒否することができる権利です。
しかし債務者本人が破産していたり、行方不明の場合には行使することができなくなっています。
検索の抗弁権(民法453条)
検索の抗弁権とは…。
債務者本人が借金を返済できるほどの財産を持っているにもかかわらず返済を拒否。
債権者が保証人の財産を差し押さえようとした場合、「先に債務者本人の財産を差し押さえて」と保証債務の履行を拒むことができる権利です。
分別の利益(民法456条)
分別の利益とは…。
ひとつの債務に対して保証人が複数いる場合、各保証人が債務を人数で割った金額だけの責任を負担することを指します。
分別の利益は契約書によって制限されている場合もあります。
特約などがないかどうかしっかり確認しておいてください。
連帯保証人になっている場合
あなたが債務の連帯保証人になっている場合…。
保証人で紹介した「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」は最初から存在しません。
つまり行使できない権利となります。
債権者が突然あなたに返済するよう求めてきたら、債務者本人に代わって返済していく義務が生じます。
債務者本人が借金返済が可能なほどの財産を持っている場合、連帯保証人になっている場合にはあなたの財産が差し押さえられることになります。
このように保証人よりも重たい責任を負うことになるのが連帯保証人です。
金融業者の提示する「保証人」とは、ほとんどの場合連帯保証人にあたります。
連帯債務者になっている
あなた自身が借金をしていなくても、債務者本人と同じ立場として扱われるのが連帯債務者となっているケースです。
債権者は債務者本人にも、連帯債務者にも返済を求めることができます。
例えば債務者が行方不明、返済不能に陥ってしまった場合でも、連帯債務者はその債務を完済するまでの責任を負うことになります。
連帯保証人であることを追認した場合
ご紹介したように、家族や友人の借金を肩代わりする義務はありません。
そして、「少しでもいいから返済してほしい」と迫られた場合には、1円たりとも返済をしてはいけません。
少しでも返済を行うことで「この債務の連帯保証人であることを認めた(追認)」ことになり、返済義務が生じることとなります。
親族だから、仲のいい友達だから…。
借金に苦しむ人のために返済をしたい気持ちはよくわかります。
ですが、心を鬼にして、決して支払わないよう注意してください。
絶対に保証人にだけはならないように!
以上が「保証人だけにはなるな!」と親や家族から言われた方が多い理由です。
どれだけ親しく仲のいい友人であっても、連帯保証人になってしまうことで関係性が劇的に変化します。
金の切れ目が縁の切れ目。
人間関係にヒビが入ってしまうのは時間の問題でしょう。
そうすると最終的にはあなたが代わりに借金を返済していかなくてはなりません。
「保証人になってほしい」と言われたら断固として断りましょう。
なるとしても「保証人」なのか「連帯保証人」なのか、契約書面をきちんと確認しておくなどの注意が必要です。
これらの保証人になっていない限り、第三者が借金を肩代わりし、返済していく義務は生じることはありません。
返済できないときには差し押さえられることも
あなたが友人の借金の保証人、もしくは自分の名義でお金を借りて友人の借金を返済した場合…。
当然、そこには返済義務が生じることになります。
その上で返済が滞ったり、滞納期間が続いていけば、督促が行われます。
最終的に訴訟を起こされ強制執行に至り、給与や財産が差し押さえられてしまうことに繋がりかねません。
他にも、友人が闇金から借りていれば執拗な取り立てや、職場や自宅に嫌がらせをされるなどのリスクがあります。
借金を肩代わりしてもらえないか申し出た友人も、きっと精神的に追い詰められていたかもしれません。
しかしそれによって、借金とは全く無関係のあなたまでも苦しむ必要は一切ないのです。
肩代わりした借金が返せないときの対応策
それでは、もしもあなたが借金を肩代わりした場合。
その返済が滞り、一括返済を求められた場合にはどうすればよいのでしょうか。
専門家への相談、債務整理の手続き
まずは借金をした経緯や事情などをまとめ、債務整理に強い法律事務所などに持ち込んで相談しましょう。
保証人、連帯保証人になっている場合、殆どの場合本人に代わって借金を返済する義務が生じます。
債務者と連絡が取れて、連帯保証人共に返済能力がない場合には、一緒に相談しにいくと話がスムーズに進むでしょう。
債務整理の種類と選ぶべき手続き
多額の負債を抱え、今後の収入や換金できる財産もなく、返済の見込みがない…。
そんな場合には、自己破産をするべきでしょう。
自己破産の免責許可を受けることで、すべての債務の支払い義務がなくなります。
しかし、自己破産する前に、ある程度デメリットがあることを知っておくことも重要です。
家や自動車などの財産を残したい場合には、個人再生、任意整理などの手続きを取りましょう。
いずれの場合も「債務整理をした」という記録が個人信用情報に残ることになります。
ですが、負債を減額し、返済期間を短縮、毎月の負担を減らすことができます。
その人の収入の状況や返済期間などを鑑みて、専門家が適切な手続きを提示してくれます。
まずは無料の相談窓口まで足を運んでみてください。
まとめ:借金の肩代わりは絶対NG。肩代わりした場合には債務整理を
友人の借金を肩代わりしてしまうことで、あなた自身の生活にも大きな影響を及ぼします。
酷いときには、差し押さえなどの法的措置を受けることになってしまう危険があります。
「保証人になってほしい」などと言われたら絶対にNG、断るようにしましょう。
すでに肩代わりしてしまっている場合には、速やかに債務整理の相談をするようにしてください。
できれば債務者本人と一緒に相談にいくのが望ましいです。
ですが、債務者本人と音信不通になってしまうケースも少なくありません。
そういったどのような資料や書面を用意したらいいのかわからない…。
そんな時でも、債務整理に強い事務所であればきちんとサポートしてくれます。
個人間のお金のやり取りは当人たちでしか管理することができません。
親族に相談してもなかなか受け入れて貰いにくい問題です。
自分ひとりで解決することが難しい、と判断した段階で、相談先の弁護士事務所を探すようにしてください。