借金額が膨らみ、もう自分では返済することもできず、どうしようもなくなってしまって…。
そんな方は、債務整理が有効な解決手段です。
しかし、債務整理の手続きは個人では難解なものが多くなっています。
また弁護士と契約する場合には別途で費用が必要になります。
そのお金の工面ができないかもしれない…と不安で、債務整理に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、弁護士など専門家に債務整理を依頼する際、必要な費用の相場をご紹介しています。
また自己負担を可能な限り少なくする方法などをまとめました。
債務整理にあと一歩踏み込めない方の後押しになれば幸いです。

債務整理の手続きにかかる費用には基準がなく、弁護士・司法書士事務所によって異なります。
一般的に借り入れ先が多いほど料金が高額になる傾向があります。
特定調停以外のどの債務整理をとったとしても、総額では30万円以上かかる場合が多くなっています。
債務整理をするためのお金がなく、できるだけ費用を抑えたい場合にできる方法には以下のようなものがあります。
- 分割払いにしてもらう
- 法テラスを利用する
- 無料相談を活用する
- 特定調停の手続きをする
詳細は本文を参考にしてください。
債務整理にかかる費用の平均
債務整理を弁護士に依頼するときの費用はその事務所によってまちまちです。
一定の基準はありませんが、各手続きによって金額に大きな差があります。
まずは弁護士事務所のホームページを見て、手続きにかかる費用が掲載されているか確認しましょう。
また、借金総額が140万円以下の場合には、司法書士に依頼するのが望ましいでしょう。
個別の債権額が140万円を超過する場合や、自己破産・個人再生の手続きを取る場合には弁護士へ依頼してください。
参考:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27HDH_X20C16A6CR8000/
それでは、各手続きに焦点をあてて、債務整理にかかる費用の詳細を見ていきましょう。
任意整理にかかる費用
裁判所を通さずに借金総額を圧縮するよう弁護士に依頼、債権者と交渉してもらう任意整理には、以下の4つの費用がかかります。
費用総額はどれくらい?
任意整理における費用総額は、何社から借り入れているかによって大きく変わります。
項目 | 費用 |
着手金 | 0円~4万円程度(1社あたり) |
解決報酬金 | 2万円~4万円程度(1社あたり) |
減額報酬割合 | 10% |
事務手数料 | 0円~実費 |
着手金が高額に設定されている場合は、借り入れ先1件につきかかる解決報酬金が安価に設定されているなど、依頼する事務所によって費用設定は異なっています。
たとえば以下のようなケースでは、かかる費用はどの程度になるのでしょうか。
- 借り入れ先:3社
- 任意整理による減額金額:120万円
項目 | 1件あたりの費用 | 今回のケース | 合計 |
着手金 | 4万円 | 3社からの借入 | 12万円 |
解決報酬金 | 2万円 | 3社の借金解決 | 6万円 |
減額報酬金 | 減額金額の10% | 120万円 | 12万円 |
事務手数料 | 実費 | 実費 | 実費 |
合計 | 30万円+実費 |
このように、借り入れ先が多いほど弁護士費用が高くなる傾向になっています。
上記はあくまで1例です。
依頼をするときには十分に料金について調べたうえで、依頼完了にあたっての見積りを出してもらうようにしてください。
自己破産にかかる費用
裁判所を通して借金を免除してもらう自己破産手続きを行う場合、費用は以下の通りです。
- 弁護士に依頼する場合:約30~60万円
- 司法書士に依頼する場合:約20~30万円
自己破産する場合には、借金総額によって費用が大きく変わります。
また依頼料とは別に、裁判所に納める予納金、収入印紙代などの諸経費を支払う必要があります。
裁判所に支払う各費用
項目 | 種類 | 備考 | 費用 |
予納金 | 同時廃止 | 20万以上の財産がある場合 | 1~3万円 |
少額管財 | 20万以上の財産があり、弁護士に依頼する | 20万円~ | |
管財事件 | 20万以上の財産があり、弁護士に依頼しない | 50万円~ | |
予納郵便代 | ― | 借金総額によって異なる | 3000円~ |
収入印紙代 | ― | 申立時に必要 | 1,500円 |
管財事件になる場合、手持ちの財産を裁判所が選んだ管財人が換価するので費用がかさむこととなります。
20万円以上の財産を持っていて自己破産する場合、弁護士に依頼するだけで費用をぐっと抑えることができます。
また、20万円以上の財産がなく、間違いなく自己破産ができる場合には、自分で申立をすることで費用を節約することができます。
債務整理の自己負担を少なくする方法
それでは、これらの費用をできるだけ軽減する方法はどういったものなのでしょうか。
実際に借金をして債務整理をした方たちからのアンケート調査結果も添えてピックアップしていきます。
- 分割払いにしてもらう
- 自力で債務整理する
- 法テラスを利用する
- 無料相談を活用する
- 特定調停の手続きをする
分割払いにしてもらう

(30代の男性・任意整理)

一括の支払いができず、5回分割払いにしてもらって、自分の収入で支払った。
(40代の女性・自己破産)
弁護士費用を一括で支払えなかった方々のなかには、弁護士事務所が提示した分割額で毎月返済を行ったという方がいらっしゃいました。
また、正式に依頼する際にかかる着手金についても、分割対応してくれる事務所もあります。

(30代の女性・任意整理)
債務整理を依頼し、交渉を委任すると返済の取り立てがストップします。
返済に充てていたお金をそのまま弁護士費用に充てているようですね。
弁護士事務所のホームページでも、分割払いをした場合のシミュレーションなどが掲載されていることがあります。
月々最低限、無理のない金額で対応してくれるところもありますので、依頼時の事務所選びは本当に重要です。
自力で債務整理する
かなり難しい方法ですが、自力で自己破産することも可能です。
弁護士や専門家に委任することなく、裁判所への申立、書類準備、債権者一覧表などを作成することで、少額での債務整理が可能となります。
具体的に準備する書類は以下のとおりです。
必ず提出するもの
必要添付書類 | 備考 | 注意点 |
戸籍謄本の原本 | 戸籍抄本は不可 | 破産申立から3ヶ月以内 |
住民票の原本 | 本籍の記載があるもの | 破産申立から3ヶ月以内 |
診断書のコピー | 主治医に相談の上提出 | 手数料がかかる可能性あり |
給与明細書のコピー | 3ヶ月分を用意 | |
源泉徴収票のコピー | 前年、前々年のものを用意 | |
課税証明書、非課税証明書の原本 | 原本を提出 | 手数料あり |
預金、貯金関係の書類 | 過去2年分を用意 | 通帳のコピーなど |
貸付金関係の書類 | 親類などに貸付がある場合 |
必要に応じて提出するもの
その他必要に応じて提出するもの | 備考 |
退職金見込額証明書 | 会社から発行されるもの |
保険証券のコピー | 生命保険他、すべての保険証券が必要 |
解約返戻金証明書のコピー | 各保険会社に連絡の上発行(時間がかかる) |
有価証券関係の書類 | 証券の価値がわかる書類が必要 |
自動車に関係する書類 | 車検証、査定額の記載された書面など |
生活保護受給証明書のコピー | 該当する方のみ |
年金受給証明書、振込通知書のコピー | 該当する方のみ |
児童手当受給証明書、振込通知書のコピー | 該当する方のみ |
確定申告書のコピー | 自営業の方のみ |
賃貸借契約書のコピー | |
住宅使用許可書のコピー | |
支払督促正本など | 差し押さえなどを受けている場合 |
また、申立書としては以下のものが必要になります。
- 破産手続開始・免責許可申立書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 家計全体の状況
- 陳情書・報告書
- 申し立ての経緯
これらの書面をすべて用意したうえで、裁判所へ赴き、面接を受ける必要があります。
どうしても弁護士費用が捻出できない…という時には検討したい方法です。
ただし、見過ごせないようなデメリットもあることを念頭に置いておくようにしてください。
- 手続きが困難で煩雑、時間がかかる可能性がある
- すぐに債権者からの取り立てが止まるわけではない
- 任意整理は弁護士が債権者と交渉して借金額を減額するので、自力で行うことができない
法テラスを利用する
日本司法支援センター「法テラス」では、民事法律扶助という制度を利用することで、自己負担を軽減することができます。
民事法律扶助とは、月々の手取り額が18万2千円以下。
さらに弁護士費用を自分で支払えない資力のときに利用できます。
これは法テラスが一時的に費用を立て替えて支払い、依頼者は法テラスに費用を分割で支払っていくことができる制度です。

(40代の女性・自己破産)
一般的に弁護士に依頼すると約30万円以上かかります。
それが、法テラスから依頼することで15万円程度に抑えることができます。
月々の支払額も場合によっては5000円~10000円程度になります。
自己負担を限りなく軽減することができますね。
ただし、地域の弁護士がランダムで選抜されることになり、審査に2週間程度時間がかかることがあります。
それでもできるだけ費用を抑えて債務整理をしたい場合にはぜひ活用したいですね。
無料相談を活用する
ネット上でも「無料で相談受付中」と書かれている法律事務所・弁護士事務所はたくさん見つけることができます。
それでも、「あとから相談費用がかかるのでは…」と不安になりますよね。
相談をしたり、依頼料の見積りを出すだけなら無料で行ってくれますので、積極的に利用していきましょう。
債務整理は弁護士の腕によってどれくらい減額するか、依頼者の今後の負担が大きく変わります。

(30代の女性・任意整理)
実績や料金はもちろん、安心して交渉を任せられるかなど、無料相談で得られるものは大きいですので、慎重に選ぶようにしてください。
特定調停の手続きをする
特定調停は、債権者との間に裁判所が仲介し、原則として3年間で返済できるよう計画を立てる手続きです。
ネックとなるのは、平日の昼間に裁判所に出向く必要があることです。
また特定調停についての知識を備える必要があるなど手間がかかります。
ただ、弁護士や司法書士に依頼しないので、ほとんど自己負担のかからない債務整理の手続きとなっています。

(40代の男性・特定調停)
ただし、過払い金があった際の請求手続きは、過払い金訴訟を起こす必要があります。
まとめ:まずは無料相談から。依頼するときは慎重に
債務整理のための費用はやはり不安ですし気になるところですよね。
多額の借金があるところに、さらに数十万円もの費用がかかる…。
どうしても億劫になってしまって、あと一歩が踏み出せないのではないでしょうか。
しかし、借金問題に強い弁護士であれば、どんな状況でも的確なアドバイスをしてくれます。
また分割払いでも負担にならないよう対応してくれるところがほとんどです。
多重債務に陥っている人は一刻も早く無料相談のできる弁護士や司法書士に連絡をしてみてください。
ただし依頼の際には時間をかけて、よく吟味してから選ぶようにしましょう。
どうしてもお金がなく、費用を抑えて債務整理を行いたい場合には、法テラスの利用や特定調停を検討してください。