裁判所を通さず借金の整理が行える「任意整理」は多くの人が利用しています。
借金をゼロにはできないものの、交渉次第では借金総額の減額や、月々に支払う返済金が大幅に減ることなどで知られています。
しかし、任意整理を行ったあとに様々な要因から、残りの借金が返済できない…。
そんな事態に陥った場合、どうすればいいのかご存知ですか?
ここでは任意整理後の借金が返済できなくなったときの対処法をまとめました。
実際に返済に困った方のエピソードも交えてご紹介していきます。

任意整理の借金が返せない場合、2か月以上滞納すると和解内容の無効、および期限の利益の喪失により、債権者から遅延損害金を足した負債の一括返済を求められる場合があります。
入院やリストラなどのやむを得ない理由であっても救済措置はなく、また再和解も困難です。
どうしても支払えない場合には、すみやかに弁護士と相談し、債権者に返済を延滞する旨を伝えるようにしましょう。
また返済が長期に渡り延滞してしまうときには、自己破産や個人再生などといった別の債務整理の手続きを検討してください。
詳細は本文を参考にしてください。
任意整理後の借金が返せない!?
現在債務整理、もしくは任意整理を検討されている方のなかには、このような不安を抱かれている方も多いのではないでしょうか。
- 「債務整理をしても借金癖が抜けなかったらどうしよう」
- 「またお金に困っても借金できなくなるのが怖い」
- 「体の調子が悪く、入院することになったら返済できない」
- 「将来的に収入が低くなる。すぐにまた生活が苦しくなってしまう」
このように任意整理をして借金を減らし、毎月の返済額を抑えたとしても、心配の種は山のように残っています。
かといって闇金など国に許可を得ていない無登録業者から借り入れをしてはいけません。
そこからまた多重債務に陥ったり、場合によっては犯罪行為に巻き込まれてしまう危険もあります。
「まずは任意整理を行う」多額の負債に頭を悩ませている方は、これが第一目標です。

それが任意整理をすることで毎月は6万円ぐらいの返済になり、毎月の支払いも圧縮され、返済期間も短くなりました。
(1000万以上の借り入れ・40代の男性)
任意整理後、借金が返せないとどうなるかという具体例
任意整理したあとに残った借金の返済が困難になった場合、残った借金を一括で支払うよう請求されることになります。
- 返済を滞納すると和解が無効になる
- 怪我や病気、リストラであっても救済措置はない
- 再和解は困難なことが一般的
返済を滞納すると和解が無効になる
任意整理を行った後、一般的には返済を2回以上(2か月以上)滞納してしまうと、弁護士が債権者と結んだ和解契約が無効となってしまいます。(和解内容の無効、期限の利益の喪失)
これにより債務者は「残った借金を分割で支払う権利」を失ってしまうことになります。
一方で債権者は、遅延損害金を足した残債の一括返済を求めることができるようになります。
一括返済請求があった場合には、弁護士を通じてその旨が通達されます。
怪我や病気、リストラであっても救済措置はない
裁判所を通す手続きとは違い、任意整理の場合は、あくまでも個人間での契約です。
怪我や病気による入院や、リストラなどを受けて、やむを得ず返済できないような状況になってしまっても、法的な救済措置は用意されていません。
いずれの場合も債権者から一括返済請求が通達されることとなるでしょう。
再和解は困難なことが一般的
どうしても借金が支払えなくなり、任意整理に次ぐ任意整理、つまり再和解をすることも可能です。
しかし実質2度目の契約破りになってしまいますので、受け入れてくれる債権者は少ないでしょう。
また弁護士側も再和解に関しては断る場合が多いほか、例え交渉したとしても減額されることはないと考えておいたほうがよいでしょう。

ところが、意気込んで支払い頑張ろうとしていた矢先、任意整理前の心労が祟ったのか数ヶ月の間入退院を繰り返すことになり、支払いに回すお金がなくなってしまったのです。
(280万円の借り入れ・30代の女性)
1回でも返済が遅れると、一括返済を求められる?
任意整理のあと、一度でも返済が遅れると一括返済を求められてしまうのではと考えている方も少なくありません。
上記でも少し触れましたが、返済を2ヶ月以上滞納すると、弁護士と債権者が結んだ契約が無効となります。
具体的に言うと、「これだけの金額をいつまでに払ってくださいね」という約束事が失われます。
その後は債権者からの一括返済請求がなされるようになるでしょう。
ただし、病気やケガによる入院やリストラなど、特別な理由から支払いが遅れる場合には、早期の相談によっては延滞が認められることもあります。
この判断は債権者に委ねられますので、誠実に正直に事情を話すことが重要です。
任意整理後の自己破産は、同じ弁護士に依頼できる?
それでは任意整理のあとに手続きを自己破産に切り替える場合、同じ弁護士に依頼することはできるのでしょうか。
結論から言うと、「滞納によって代理人契約を解除された場合は難しい」ということになります。
例えば滞納の理由や事情にしてもその人によって大きく異なります。
任意整理は何年にも渡って返済を続けるための債務整理です。
その間に何らかの理由から返済困難、他の債務整理へ切り替えるということは十分考えられます。
病気、ケガ、リストラなどやむを得ない理由がある場合、任意整理を行った際に依頼した弁護士にも、早い段階で相談しておきましょう。
継続的な返済ができないと判断されれば、債務整理を任意整理から自己破産へ切り替えなくてはいけません。
しかし何ヶ月も滞納しているのに、代理人にも何の連絡もないのであれば、一方的に契約解除となることがあります。
そうした場合は同じ弁護士に依頼することは難しいので、他の債務整理に強い弁護士を探す必要があるでしょう。
任意整理後の借金が返せないときの2つの対処法
それではこのように任意整理後の返済を延滞してしまうようなことになったとき、どういった対処法が考えられるでしょうか。
短期的な滞納と長期的な滞納の場合では、対応策が違ってきます。
- 一時的な滞納は代理人に相談
- 長期的な返済不能なら、任意整理以外の方法に切り替え
一時的な滞納は代理人に相談
「今月だけ支払いに間に合わない!」
そうした突発的なケースの場合は、それが分かった時点ですみやかに代理人(弁護士)に連絡を入れましょう。
1か月(1回目)の延滞では和解内容が無効となることはほとんどありません。
しかし何の連絡もなく返済が滞ってしまっては、弁護士や債権者の信用度を著しく下げてしまうことになるでしょう。
必ず早い段階で弁護士、司法書士、もしくは債権者に延滞することを伝え、できれば支払いの期日をこちらから提示するようにしてください。

そのまま放置していたらやはり支払いの督促がきて、任意整理でお世話になった弁護士からの連絡も来ました。
結局一括返済になり、身内に借りて借金を返済しました。
(120万の借り入れ・20代の男性)
長期的な返済不能なら、任意整理以外の方法に切り替え
怪我や病気による入院、リストラによる無収入状態が続くようであれば、この場合もすみやかに弁護士に相談して、他の債務整理を検討してください。
任意整理をすると数年の間お金を借りたり、クレジットカードを作れなくなってしまいますが、他の債務整理を行うことは可能です。
思いがけない出費から返済ができなくなってしまう方は実はたくさんいます。
その場合弁護士は「個人再生」「自己破産」などの債務整理方法を提示します。
個人再生の手続きをする
個人再生の手続きをすると、借金が原則1/5まで減額されます。
また自己破産とは違い、車や住宅などの財産を残したまま債務整理が可能となっています。
ただし、その後3年間での返済計画案を債権者に決議してもらう必要があります。
その過程で裁判所に出向いたり、別途費用が必要になります。
返済計画通り借金が返済できなかった場合には法的措置が取られることになりますので、弁護士と相談したうえで慎重に決定してください。
自己破産の手続きをする
何かとネガティブなイメージが付きまとう自己破産という手続き。
これは多額の負債をゼロにするための唯一の方法でもあります。
デメリットとしては数年の間借金ができなくなる、クレジットカードやローンが組めなくなるなどです。
ただ任意整理では減額が見込めない時、返済の目処が立たない場合には、すみやかに手続きを進めたほうがよいでしょう。
ただし、借金の理由などによっては自己破産が認められない場合もあります。
弁護士と相談してから決めていくようにしてください。

忘れたころに手紙が届くようになり、裁判所にも出向きましたが、分割には応じてもらえず19万円を一括で支払いました。
もちろんいくつか弁護士にも相談しましたが、「あそこだけは厳しい」ということで引き受けてもらいませんでした。
(250万円の借り入れ・30代の男性)
まとめ:債務整理に強い弁護士を選ぼう。返済困難な場合は早期の相談を
任意整理後に返済が延滞してしまうと、期限の利益の喪失により債権者から一括返済請求が来るという恐ろしい事態になってしまいます。
そうならないためにも、まずは任意整理後に返済が滞るようなことにならないようすべきなのはもちろんです。
弁護士や司法書士に依頼する場合「実績のある債務整理に強い事務所」を選ぶのが重要なポイントです。
できれば債務整理の実績を掲載している法律事務所が望ましいでしょう。
そういった法律事務所は、債務整理後の返済計画や、弁護士費用の分割支払いなど、生活再建に至るまでのサポートを徹底しているところがほとんどです。
やむを得ず返済が困難になってしまった場合でもきちんと取り次いでくれるような、信頼のおける弁護士を探して依頼するようにしてください。